舞台は、東京から28時間も離れた東京。構想から13年、東京産のカカオとチョコレートの実現に成功!

2016.02.11

こんにちは! THE BAKE MAGAZINE編集長の塩谷です。

突然ですが「カカオベルト」って言葉、覚えてますか?

かつて地理の授業で習ったかもしれない……。

赤道を中心にした、南北緯20度以内が、カカオが育つ地帯、別名「カカオベルト」。中でも、アリカや中南米に多いのがカカオの生産地……ということでした。

th_cacao

つまり、それより北や南では、カカオの栽培は難しいよということです。

ですが今回「初となる東京産のカカオでチョコレートが出来たので、記者会見を行います!」というお知らせが……。

東京は北緯35度41分、東経139度46分です。

え、不可能を可能にしたの???カカオの限界越えに成功????

という疑問をもって記者会見に参加してまいりました。

明治34年創業のお菓子屋さんによる、大いなる挑戦

記者会見を開いたのは、埼玉県草加市にある、平塚製菓さん。和菓子屋さんとして明治34年に創業(!)し、現在では様々な洋菓子を手がける老舗お菓子メーカーです。

平成24年創業の私たちBAKEにとっては大大大大先輩です…!!

どうやって東京産のカカオを成功させたのでしょうか??

平塚製菓の平塚社長が、たくさんのメディア陣を前にそのヒストリーをお話ししてくださいました。

栽培地は、東京から28時間かかる、東京?

平塚製菓とカカオの闘いはなんと、2003年にその幕が開けたそうです。こちら、ガーナのカカオ農園を視察に行かれた様子。

視察

調べてみたところ、ガーナ行きの飛行機は、乗り継ぎがスムーズなもので東京から29時間ほどかかるようです。めちゃ遠い。

現地で見たカカオの木に魅了されたという平塚社長。「日本にもカカオを根付かせたい!」と、カカオの栽培計画を策定されます。

ちなみに当時、日本でのカカオといえば、植物園に数本生えている程度。亜熱帯でない国では、難易度の高すぎる植物です。

その後も海外カカオ農園の視察を続けたのち、日本での栽培地を決めることに。「東京カカオ」の栽培地となったのは……





ここ。
26

…東京カカオ……?

東京……

th_IMG_0642

間違いではありません。

th_平塚社長「小笠原諸島に行くと、品川ナンバーの車が走っていました!」

そう、小笠原諸島は東京都品川区。
しかし、カカオの栽培地に選んだ「母島」までの道のりは……

船で26時間で父島に到着。そこからさらに「小笠原丸」に乗って2時間。合計28時間かかります。

th_『東京カカオ』母島景色

ぶっちゃけガーナへの所要時間とほとんど変わらないですが、母島の農家さんと共に、東京産の東京カカオ栽培をスタートされたのです。それが2010年のことでした。

難航する、母島でのカカオの栽培

初年度は1000粒の種を植えて、そのうち167つだけが発芽。でもそれも、2、3ヶ月で全てダメになってしまったそうで……。

そんな初年度の失敗を聞きつけたのが、母島で折田農園を営む折田さんでした。

平塚製菓さんのところに、「カカオ、ウチなら出来るんじゃないかな…」という電話がかかってきたそうです。実は折田さん、母島で唯一無農薬のマンゴー農園を成功させたという研究熱心な農家さん。

そこで平塚社長が口にした、折田さんの畑で育ったマンゴー。

「こんな美味しいマンゴー、食べたことなかった!」と、その技術力に感動。

「この農家さんなら、出来るかもしれない」そんな思いで平塚製菓と折田農園は契約を結び、共に「東京カカオ」の挑戦が始まったのでした。

それからハウスを建てたり……

th_『東京カカオ』栽培ハウス

母島までカカオ栽培のための社員を派遣したり……

カカオの木は年間5,000個もの花を咲かせるのですが、そのうち実になるのはたった50〜70個。ラグビーボールのようなカカオの実「カカオポッド」が出来るまでには、様々な試行錯誤があったそうで……

土の中に空気を入れたり、日陰をコントロール出来るように工夫したり。
様々な努力の成果、2013年にはじめてカカオの実が出来たそうです!!

th_『東京カカオ』カカオポッド2

th_『東京カカオ』カカオポッド3

記者会見にて、笑顔で振り返るお二人。

th_平塚社長「織田さんのカカオに対する情熱と探究心がなければ、実は結びませんでした」

th_織田さん「まさか本当に出来るとは。母島といっても冬場は寒い。そこで木が枯れないで、花が咲いて、実が出来たんですよ」

th_IMG_0661

そこからは、平塚製菓さんの力の見せ所です。

カカオポッドを加工してチョコレートにしていきます。なのですが、これがまためっちゃ大変。

クリーニング、ウィノーイング、ロースティング、グライディング、ミキシング、リファイニング、コンチング、テンパリング、モールディング、クーリング、デモールド、エージング……

という工程を踏んで、ようやくチョコレートが完成します。詳しくはこちら。

チョコになるまで

そうして出来た、チョコレート。初の「東京産」チョコが完成したのです。

th_『東京カカオ』チョコレート

最初は「本当にチョコレートの味がするんだろうか…?」と思いながら口にしたそうです。すると……

th_平塚社長「ちゃんと、チョコレートの味がしたんですよ。着想から13年かかって、やっとです!」

努力の結晶「東京カカオ」から生まれたチョコレート。感動の味ですね。

記者会見会場で試食があり、私もいただいてみたのですが……

th_IMG_0667

モグッ

((す、すごい……確かにチョコレートなのですが、すごい肉厚……
フルーティーで、もっちりしていて、口に残る果物のような香り……))

((リッチすぎる……めちゃくちゃ美味しい……))

お土産をBAKEに持って帰ったところ、社内でも大好評でした。

この東京カカオのチョコレート、2018年の商品化を目指して現在生産をされているそうです。

th_平塚社長「小笠原諸島に、カカオアイランドを作りたい。島おこしになるようなことが出来ればいいなと、思っています」

まだまだ平塚製菓さんのカカオ道は続きます!!

th_IMG_0654

2年後のバレンタイン、そこで渡されるとびきりの本命チョコは「MADE IN TOKYO」になっているかもしれませんね。

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