仕事でSlush Asiaに行けなかった方必見。要点をまとめてお伝えします!

2015.05.12

はじめまして、Facebook Singaporeでアジア太平洋地域デジタルマーケティング統括マネージャという仕事をしております、菊地勇太です。たまたまの日本帰国とご縁が重なり、THE BAKE MAGAZINEにて、Slush Asia in Tokyoの記事執筆をさせていただくことになりました。どうぞ宜しくお願いします。

2008年、フィンランドのヘルシンキで産声を上げたスタートアップイベント、Slush。2015年4月24日、晴天の中アジア初となる”Slush Asia”が東京・お台場にて開催されました。

会場の様子
会場の様子

会場の入り口はまるで幕張メッセのサマーソニック。野外テントが立ち並び、イベントスタッフは、みなSlush Asiaと書かれたロック風のTシャツを見にまといい、”Good morning, welcome to Slush Asia”と笑顔で来場者を出迎えます。違いと言えば、音楽が聞こえてこないことと、来場者に家族連れがいないことぐらい。外からはビジネス系イベントとはまるで想像のつかない、良い意味でフランクでオープンな雰囲気が伝わってきます。

そしてこのイベントのもう一つの特徴は、プレゼンターの国籍に関わらず、すべてのプレゼンテーションが英語で行われること。キーノートステージだけでなく、BAKEが参戦したスタートアップが凌ぎを削るピッチングステージもすべて英語。同時通訳は入っていませんでした。

1.変化の重要性

キーノートステージは、LINE株式会社の元代表取締役である森川亮さんのプレゼンテーションで幕をあけました。

森川亮さん
森川亮さん

彼は、変化の速い現代社会において、プランを作ることではなく、変化に対応し、それをパワーにかえることの重要性を”Change”と言う単語を何度も使い説いていました。

上場目前と言われるLINEを退社し、スマートフォン×動画の可能性を信じて、エンターテイメントに変革を起こすべく「C Channel」という新たなメディアにチャンレンジしている彼のセッションは、”Change is power, Change is future”という言葉で締めくくられました。

女子のための動画ファッションマガジン C Channelhttp://www.cchan.tv/

2.チームメンバーの重要性

キーノート2人目のプレゼンテーターは、DeNA創業者の南場智子さん。流暢な英語で群衆の感触を確かめながら話している様子が印象的でした。

南場智子さん
南場智子さん

1999年1月にオンラインオークションサービスで日本一になるとゴールを決めたものの、失敗の繰り返しであったと振り返ります。スタートアップに必要な3つのこと、それは、1) Vision, 2) Money, 3) People。その中でもとくに3番目のPeopleが一番大事であると強調し以下5つのポイントを示していました。

・人材は量より質
・リクルーティングには時間をかける
・良い人がいたら、3年でも5年でも追い続ける
・誠実に。よく見せようとしない
・一度加わったら、信頼する


ちなみに、現在もずっと追いかけ続けている人がいるそうです。肉食系女子です。

また、チームメンバーの重要性に関しては、フィンランドのゲーム会社SupercellのCEO、Ilkka Paananenも、”最高のチームでないと最高のゲームは作れない”として”会社の規模を出来る限り小さくする努力をしている”という非常に印象的な言葉を残していました。

3.失敗の重要性

南場さんのセッションでもう一つ、成功への道筋(path to success)として、一筋縄では決してたどり着かず、絶対に混乱(mess)した状況にはまる。それを楽しいと思えるか。という言葉が印象的でした。

同様にIlkka(Supercell, CEO)も会社で失敗をしたときは、失敗セレブレーションパーティを開くことで、失敗をしても大丈夫な環境、雰囲気を意識的につくっているとのこと。私の勤めるFacebookのモットーにも、”Fail Harder(大きく失敗しろ)”というものがあります。社会にインパクトを起こすには、失敗を恐れなず、むしろ失敗を学習のチャンスと捉える発想が重要だということです。

最後に南場さんは”Be prepared and enjoy(しっかり備えをしたうえで、混乱を楽しもう)”という言葉でセッションを締めくくりました。

4.美しいビジョンと現実的なビジネスプランを求められるのが、スタートアップ

キーノートステージと並んで、もう一つの目玉がスタートアップによるピッチングステージ。国内外から参戦する50社が凌ぎを削るステージです。BAKEの長沼社長も唯一の製菓メーカー経営者として参戦していました。

合計50社のうち、最終的に5つのスタートアップがファイナルステージに進みます。6分のピッチと3分のQ&Aの時間で、投資家/審査員からのチャレンジングな質問に打ち返していました。最終5社中、日本発が3社。ハードウェアが2社。

各スタートアップへの審査員からの質問で一貫していた視点は、「市場はどこか?」「お客さんは誰か?」「なぜお客さんはその製品/サービスにお金を払いたいのか?」ということ。美しいビジョンと現実的なビジネスプランを共存させることの難しさを直視させられる、ピッチングステージでした。

優勝したのは、台湾のスタートアップVMFIVE

VMFIVE のマーケティングディレクター/広報であるJessie Wuさん
VMFIVE のマーケティングディレクター/広報であるJessie Wuさん

VMFIVEは「プレイアブル広告」と呼ばれる、ゲームの広告システムを提供するスタートアップ。ユーザーのどんなゲームか理解してからダウンロードしたいというニーズに注目し、ダウンロード前にお試しプレイができる「AdPlay」というプラットフォームを提供しています。

ゲームアプリ会社の目指す”質の高いユーザー獲得”をうまくつなぎ、かつコストパートライアル課金(1お試し当たり課金)というビジネスモデルも非常にクリア。この4月から東京に拠点を移し、市場開拓を進めていくとのことです。

5.日本がグローバルになるために

ピッチングステージでの若手起業家のプレゼンを見ていて、私が新卒で入社したP&G Japanの新卒トレーニングを思い出しました。2週間の研修はすべて英語で行われ、ヘタクソな英語で必死にプレゼンをした苦い経験が、明らかに私たち新入社員の意識を変えました。

今年は、日本最大規模の広告業界イベントであるad:techも、完全に英語縛りのad:tech tokyo internationalを7月に開催予定であり、ついに日本のビジネスシーンが世界標準に近づこうと動き始めています。

ただ、私の住むシンガポールで行われる業界イベントに比べると、英語がネックとなりせっかくのサービス内容が伝わっていないセッションも多々あったような気もします。しかし、日本のスタートアップ市場はまだまだスタート地点。ここから、業界の意識が変わり、日本がオープンなグローバル市場となれるか、私自身もチャレンジするべき課題です。

次回更新では、BAKEオンライン事業部長の阿座上さんによる「参加したスタートアップ企業から見る、Slush Asiaレポート」をお届けするとのことです。是非、こちらでフォローしてみてください!

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Text by 菊地勇太(Yuta Kikuchi)

Facebook アジア太平洋地域デジタルマーケティング統括マネージャ
早稲田大学理工学部卒業、東京大学大学院経済学修士。P&Gジャパンを経て、Facebook Japanセールス部門立ち上げに参画。現在はシンガポールオフィスに在籍し、アジア太平洋地域デジタルマーケティング責任者として部門の立ち上げに従事。


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